パニック発作が起きた日 その2

パニック障害

 はじめてパニック発作が起きた日のこと。前回の続きです。

パニック発作が起きた日 その1
パニック発作をはじめて経験した日のこと。

映画館の中で発作が起こる

 映画がはじまる前に念のためお手洗いへ…。

気持ち悪さもおさまっていて、”大丈夫だ”と思いました。

館内が暗くなり、映画がはじまります。

落ち着かない。

とにかく落ち着かない。

この時にはもう完全に不安に囚われていたと思います。

「また気持ち悪くなったらどうしよう…」

そんなことが頭をよぎった瞬間、

電車の中と同じように冷汗が止まらなくなりました。

手先足先がスーッと冷たくなって感覚がなくなっていくのが分かります。

目をつむってやりすごそうと思いましたが、

落ち着くどころか、どんどんと具合が悪くなっていきます。

ダメだ、もう座っていられない。

ここで吐いてしまうかもしれない。そんなこと許されない…。

「ごめん、ちょっとトイレ…」

そう行って席を立ちあがりましたが、足元はふらふら。

なんとかトイレまでは…と気力だけで持ちこたえました。

トイレのなかで便器を抱え込むようにして座り込みます。

とにかく気持ち悪い。

いっそ吐いてしまえれば楽なのですが、何も出ない…

いつまでもここにはいられないから…

 大量の冷汗。震える手足。

そんな状態でしたが、頭の中では「早くこの場から出なくては…」とそればかり考えていました。

トイレからいつまでも戻らないことで友だちに迷惑をかけているんじゃないか…

私がトイレを占領していることで外で誰かが順番を待っているかもしれない…

なによりこんな状態のところを誰かに見られてはいけない…見られたくない…

15分ほどして落ち着いてきたところで席に戻りました。

本当だったらここで、「具合が悪いから」と言って帰ればいいのです。

でも当時の私にはそれが出来ませんでした。

せめて映画が終わるまでは…終わるまでは帰れない…

迷惑をかけるわけにはいかない…

なんとかやり過ごさなければ…

そんなことで頭がいっぱいでした。

席に戻った後も、

人前で吐いてしまうのではないか という恐怖から抜け出せず

数回トイレに駆け込みました。

(この時同じ館内で映画を見ていた方々には大変申し訳なく思っています。)

外に出ると落ち着く吐き気

 映画が終わり、外に出ると自然と”吐いてしまうかもしれない”という不安は弱くなっていました。

映画が終わり解散。帰路につきます。

「もうちょっと今日は電車は無理だな…」

タクシーに乗り込み、”ひとりの空間”が確保されると次第にいつもの私に戻っていきます。

家についた時にはケロッとしていました。

この日から私の心と体は電車に乗ることを拒むようになり、

そしてそれは徐々に範囲を広げていったのです。